100万回の祈りをキミに



親睦会は駅前のカラオケでやることになった。

大部屋を貸しきって用事がある人以外はほぼ参加して人数は26人。その中心で仕切っていたのはやっぱり夏井だった。


「みんな飲み物きた?じゃ、とりあえずこれから1年間よろしくってことで乾杯!」

「かんぱーい!!」


私は目の前のジンジャーエールをひとくち飲んで、小さなため息をついた。

……こういうのって苦手だな。


私はべつに高校生活を謳歌しようとか楽しみたいとか思ってるわけじゃないし、クラスメイトとだって付かず離れずの関係がちょうどいいのに。

そんな私とは逆に凪子はもうこの空間に馴染んでるし。

凪子は友達も多いし、こういう騒がしい場所は大好きだからなぁ。


「ねぇ、藍沢さんだよね?一番前の席の」

すると隣に座っていた女子に話しかけられた。

みんなよくあの自己紹介で名字を覚えられるな……と感心しつつ「うん」と答えた。


「私安藤だからいつも一番前になるんだけど、〝あ〟から始まる名字の人クラスに4人いたからビックリした~」

あはは、と笑う安藤さんに私は笑顔だけ返した。

やっぱり高校生になるとみんな垢抜けるものなのだろうか。中学の同級生より見た目は派手な人が多い気がした。



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