100万回の祈りをキミに
プラネタリウムがアナウンスとともに始まって、周りは完全に真っ暗になった。そして東から太陽が昇ってきて西へ沈むと天井一面に満天の星空が浮かび上がった。
まるで本当の星空を見上げてるみたいにキレイで、ここが室内だって忘れそうなほど。
今の季節に合わせているのか、浮かび上がる星座は夏に見ることができる星座だった。
南の空からさそり座が現れて、夏の大三角形にこぎつね座という可愛い星座もいることを知った。
……プラネタリウムって初めてきたけど色々勉強になるなぁ。
いつかこんな星空を本物の空で見たいけど、ここら辺の街じゃムリそうだけど。
上映時間は45分間だったけど、もう一度見たいと思うほど星に魅了されてしまった。
「織姫と彦星って夏の大三角形のベガとアルタイルなんですね!16光年離れてて光の速さでも会えるのに16年かかる距離なんて初めて知りました」
その帰り道。私はずっと星について語っていた。
天の川も実際には見れないけど、宇宙からならあんな風になってるんだって感動した。
先輩は優しく相づちをしてくれて、ちょっとテンションが上がってペラペラと喋りすぎてる自分に気づいた。
「楽しいと思えることに出会えた感じ?」
途中で買った飲み物を飲みながら先輩と肩を並べて歩いていた。
「うちの学校って天文部あるんだよ。人数少ないけど観望会とかやってるみたい」
「……天文部」
「現象がないと動かない部活だけど、星が好きな人には最高の部活だよね」
運動部の人は少人数の地味な文化部を見下してる人が多いけど、先輩はそんな偏見がないから本当に素敵な人。