100万回の祈りをキミに



「本当にしつこい!夏井には教えたくないの」

なんでここまで言ってるのに夏井の心は折れないわけ?一体どんな神経してるのって感じ。


「お前が教えてくれないなら凪子に聞くからな!」

「はぁ?」

なんでそうなるの?しかも親しくもないのに凪子のこと呼び捨てにして。本当に頭痛がしてきた。


「凪子に聞いて、それでもダメだったら安藤に聞く。安藤にだけは連絡先教えたって知ってんだからな」

「………」

脅しじゃなくて夏井は絶対にやる。

凪子や安藤さんには迷惑をかけたくない。明日から夏休みでみんなワクワクしてるのに、こんな下らないことに巻きこみたくないし。


「はぁ……わかったよ。教えればいいんでしょ」


私は仕方なく夏井に連絡先教えた。

電話帳に名前が登録されるのも嫌だけど、連絡がきても返さないし、それでもしつこかったらすぐに拒否設定しよう……。


1学期の始まりも終わりも夏井のせいで憂鬱だ。

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