100万回の祈りをキミに
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「お邪魔しまーす!」
学校帰り、そのまま凪子が私の家に遊びにきた。
凪子が家に来るのは本当に久しぶりで、最近は時間が合わなくて学校以外で遊べてなかったから。
「凪ちゃん、飲み物なにがいい?カルピスあるけど」
「あ、じゃカルピスで!」
凪子とはもう3年以上の親友だし、お母さんとも何回も会ってるから〝凪ちゃん〟なんて呼ばれている。
「この写真懐かしい!いつのだっけ?」
「中1の時の。ほら、ふざけて教室で写真撮りまくってたやつ」
「ああ、そんなこともあったね!」
私の部屋にあるコルクボードには懐かしい写真ばかり貼ってある。今は写メだけ撮れば現像なんてしないけど、大切な写真はこうしてちゃんと形にしている。
凪子との思い出は数えきれない。
だから幸せだった私もどん底に落ちた私も凪子は全部見ている。
「……亜紀先輩との写真、外したんだね」
たしかに凪子が前にうちに来た時はコルクボードいっぱいに亜紀との写真を貼っていた。
今はそこに1枚もない。
「……うん。いつまでも貼ってたらダメかなって思って」
「波瑠……」
「私も前に進まないとね」
ごめん。嘘。
本当はクローゼットの見えない内側にまだ貼ってる。