100万回の祈りをキミに



時々、昔の自分と今の自分を重ねる時がある。


なにも知らなくて幼いだけだった私は毎日変化を求めていて、夢とか目標とかキラキラとしたものを探してた。

よく笑って、よく泣いて、よく怒って。

そんな感情豊かな日々を送ってた。


周りから自分がどう思われてるかとか、人並みに嫌われたくないとか、そんなことも思っていたはずなのに、今は可笑しいぐらい嫌われることが怖くない。

だって私は世界で一番怖いものを知っているから。


外の日差しが落ち着いて夕焼けになった頃、私は安藤さんとの待ち合わせ場所に向かった。

時間も時間だしお土産を受け取ってすぐ別れるだろうから、洋服はかなりラフな格好。


駅が近づいて【もう着くよ】とメールを打つ前に「藍沢さーん!」と安藤さんの声が。

すぐに顔を上げると私の足はピタリと止まった。


……な、なんで?


そこにいたのは安藤さんだけじゃなくて数人のクラスメイト。そして……騒がしいところには決まっている〝アイツ〟の姿。


「藍沢さん久しぶり~!元気だった?」なんて、クラスメイトたちに声をかけられたけど、まだ状況が理解できていない。


「藍沢さん急に呼び出してごめんね!はい。これお土産」


安藤さんはカバンから箱入りのチョコレートを出して私にくれた。

安藤さんかなり日焼けしてる。グアムだから当然か……いや、それは置いといて。


「な、なんでみんながいるの?」

「ん?お土産渡したいから来れる人は集まってもらったの。食べ物だし早めに渡したかったから」

たしかに考えてみれば、お土産って私だけにじゃないもんね……。

< 68 / 258 >

この作品をシェア

pagetop