100万回の祈りをキミに



「波瑠~。今日バド部の練習あるみたい。だから帰りは……」

「うん。大丈夫。ランチはまた別の日に」

「ありがとう波瑠」


始業式が終わって、凪子とお昼ご飯を食べに行く約束をしていたけど中止になった。

……新学期早々、部活の練習大変だなぁ。


そのあとひとりで下校していると、坂道の手前で夏井を発見した。

もしかして同じバス?嫌だな……。

そんなことを思いながら追い抜かそうとすると、また夏井は誰かと電話をしていた。


『今から向かうから30分後くらい。うん、あれ?今日の対戦相手って誰だっけ?』

あの時は本当に真面目な話し方をしてたのに、
どうやら今回はただの友達らしい。

夏井は電話を切ったあと、すぐに私に気づいた。


「お、藍沢じゃん」

結局あれから夏井は課題の件で早坂先生に怒られてたし、自業自得って感じ。相変わらず友達とは下ネタばっかりだし、頭の中それしかないのかな。


「あ、もしかして今の電話聞いてた?対戦相手ってその……ほら、海でナンパした女の子たち。これから合コンなんだよね~」

べつに聞いてないし、気になってないし。

そのあとも夏井はペラペラと喋り続けたけど、私はずっと聞き流していた。


安藤さん可愛いのに、こんなヤツのどこがいいんだろうか。

男なら星の数ほどいるんだし夏井じゃなくてもいいのに。

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