100万回の祈りをキミに
そんなこと考えながら教室に戻る途中、校舎の渡り廊下に亜紀先輩がいた。
渡り廊下は自由に行き来できるけど、あそこは上級生のたまり場になっていて1年生は近づけない。
用があって通らなきゃいけない時も忍者みたいにササッと走るし、本当に上下関係は面倒くさい。
ああして見ると亜紀先輩ってすごい大人って感じ。
3年生だし当たり前だけど、私が近づけない渡り廊下に友達といて、学校では禁止だって言われてるお菓子や漫画を広げて。
気軽にメールや電話のやり取りをしてしまってるけど、私の踏み入れられない壁を学校では感じる。
「ねぇ、なに食べてんの?うちらも交ぜて~」
そこに3年の女子が群がってきた。
同じクラスなのか友達なのか分からないけど、すごく亜紀先輩とも親しそう。
「あ、私アッキーが好きな飴持ってるよ?」
しかも〝アッキー〟なんて呼ばれてるし、隣にピタリとくっついて先輩が読んでいた漫画を覗いてる。
楽しそうに笑う先輩を見たら胸がチクリと傷んで、私は足早に自分の教室へ戻った。