100万回の祈りをキミに
校門ではカラフルなアーチ作りをしていて、ペンキで色を塗ったり絵を描いたり明るい声があちこちに飛んでいた。
えっと……ロープと三角コーンだっけ。
いつも閉められている倉庫は全開になっていて、早い者勝ちで使えるものは使っていいことになっていた。
三角コーンはあるだけ借りてきてと言われたけど、もうふたつしか残っていない。とりあえずそれを重ねて右手首にロープを巻きつけた。
けっこう運びにくいなぁ、なんて思っていると入れ替わるようにして3年の男子が倉庫にきた。
「あれ、もうなにも残ってないじゃん」「手ぶらで帰ったら文句言われそー」と背後でため息をついている。
ちょっと遅かったらロープと三角コーンなくなってたかも。危ない危ない……。
「そういえば昨日見たドラマで転校してきた女の子がめちゃくちゃ美少女でさ」
「あるあるじゃん」
「二次元ではな。現実ではねーじゃん。マジで美少女転校してこいよ」
あはは、と笑う男子たち。
……うちの学校の男子って女子に飢えてるのかな。クラスの男子も口を開けば「だれか紹介して」とか「彼女がほしい」とかばっかりだし。
「あ、転校といえば逆に転校したヤツいたよな。ほら俺らが1年の時同じクラスだった……」
「そんな人いたっけ?」
「いたよ!なんだっけ名前。つ、つ……塚、塚、
塚本だっけ?」
――ガシャン。
私は抱えていた三角コーンを落とした。