100万回の祈りをキミに



そう言われて10分。行き先も場所も知らないまま、私は亜紀の後をついていった。

普段は絶対通らない川沿いの道。

行ったことのないスーパーや見たことのない看板を通りすぎて、薄暗い高架下を通過した。


……一体どこに向かってるんだろう?

自分の現在地すらよく分かってないけど、亜紀が一緒だから不安はない。

暫くして、どこからか騒がしい声とホイッスルの音が聞こえてきた。それは緑色のフェンスに囲まれたコートの中。


「あ、キャプテンきた!」

「亜紀おせーぞ」

「先輩こんにちはー」

亜紀を見つけるなり、次々と声が飛んできた。


グラウンドとはまた違う大きさの空間。下には人工芝が敷いてあって、みんな同じ色のウインドブレーカーを着ていた。


「フットサルの仲間たち。公式じゃないんだけど一応チーム組んでて地域別に大会とかやってるんだ」

……フットサル?


なんだかサッカーと同じに見えるけど、ボールの色が黄色や青とカラフルだし雰囲気も練習とは思えないほど和やか。

年齢差もありそうだけど上下関係なんてなくて、みんな笑顔でボールを蹴っている。


「とりあえず中に入ろうか」

亜紀は入り口を案内してくれた。

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