食わずぎらいがなおったら。
「真奈は、告白して振られたこととかある?」
ふと思いついて聞いてみた。
「ないです」
そうか。受け身なのかな、もしかして。受け身なだけじゃ恋はできないよね。
「私はね、1回あるの。こっぱみじんに振られても、なかなかあきらめられなくって。みっともなくジタバタしたの」
若かったからなぁ。もうできないと思う、ああいうの。したくもないけど。
「でもね、今はその人に純粋に幸せになってほしいなぁって思う。1回も振り向いてくれなかったし、あの頃の私はすごくバカだったけど、でも大事な思い出だなぁと今は思うわけ」
こんな話、あまりしたことないんだけど。
なんかこの子、あの頃の私に重なるから。
入社2年目、か。そんな時期だったな。
「だからさ、本気出して失敗しても、後悔することなんかたぶんないよ。って友達に言っといて」
一応、友達の話だったよね。
真奈はどう受け取ったのか、目を見開いて私を見る。
なんか、違ったかな、言うべきこと。