食わずぎらいがなおったら。
真奈はまだ納得できないように、重ねて聞いてきた。

「平内さんて、香さんのことすごい好きじゃないですか。香さんは全然気がないんですか」

そうか。この子最近隣にいるから、平内がからかってくるのを聞いてるんだ。

すごい好き？あれが？

あいつはね、社内では大人しくしてるけど、なんでも食うらしいよ。



優しいけど、それだけだよ。




「好きってことないと思うけど。私、社内で噂になりやすいみたいだけど、総務のお姉さんとかに嫌われてるだけだから」

「嫌われてるって？」

「男関係の噂、聞いたことあるでしょ？」

「はい、でも、私はそんなの信じてないです」

さっき聞いてきたじゃない？でも、他のは信じてないってことか。

ありがとう、と微笑んでおく。




「まぁでも、本当だったとしてもほっといてよと思うんだけど。誰に迷惑かけてるわけでもないし。
そういう態度だからいつまでも言われるんだぞって武田に言われたけどね。

武田には二股掛けられた挙句振られたんだって。結婚式まで呼ばれてるのに、私かわいそうすぎないその設定？」

プハッと真奈が笑った。よかった。

「そんな感じだから、平内と私がどうのっていうのも、気にしなくていいよ」



いつまでもこの話やだなと思って、話題を変えてみる。

「仕事はどう？面白い？」

真奈も気が済んだみたいで、仕事や趣味の話をいろいろした。




もっとよく見てあげないといけないな、と思った。

私が真奈の年の頃は、田代さんにビシビシ鍛えられてたもんね。
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