食わずぎらいがなおったら。

ちゃんと手をつなぐこと、迷子になったら屋台の人に声をかけて迷子札を見せること、などを約束する。

絶対に迷子にならないようにと、健太は蛍光黄色の派手なTシャツを着せられている。

どこで買ったの、お姉ちゃん。

これと一緒に歩く私の身になってほしい…




「オレさー、わたあめたべたい」

「いいよ、色々見てから決めようよ。とにかくはぐれないでよ」

「わかってる!」

ほんとにわかっているのか。




健太はかなりのやんちゃで、先に走って行ってしまうから追いつけないと姉が嘆いている。

小さい妹を連れたおなかの大きい母親では、もう全然対応できないらしく。健太も懐いてくれているので、何度か泊まりで預かってる。



うちになんて来ても特に面白くないんじゃない?と思うけど、それでもいいんだって。

愛されてるからな、健太には。






夕方でもうバスも混んでるし、お祭りにたどり着く前に結構疲れたけど、健太は相変わらず絶好調だ。

早速、綿あめを食べてごきげん。



次は何かゲームをやりたいと、手をつないで色々な屋台を冷やかすことにした。

「宝釣りと射的とクジ引きと、あと何があったっけ」

「スーパーボールすくいもあった」

「それはゲームじゃないから、別でやってもいいよ」

「じゃあしゃてきにする。オレあとやきそばたべたい」

「えー、焼きそばなんてうちで作れるから、珍しいもの食べようよ」

といろいろ話しながら、神社の境内に入る。かなり広い境内に、人がいっぱいだ。

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