食わずぎらいがなおったら。
気が付いたら、健太がいない。
あれ?辺りを見回す。
あんな蛍光シャツだ、見失うわけがない。
でも、いない。
列を抜け出し、周辺を走って探してみる。いない。
どうしよう。もっと探す?
でもここにいれば戻ってくる?
健太は方向感覚が抜群にいいから、もしかして気になるものを見つけて見に行っただけなら、戻ってこられるかも。
ぼんやりしてたからだ。保護者失格だ。
時間を確認して、5分待つと決める。
着信を見落とさないよう携帯を手に握りながら、きょろきょろ辺りを見続ける。
迷子になったとしたら、迷子札を誰かに見せて電話してもらうはずだ。
5分。
果てしなく長く感じた時間が過ぎても、戻ってこない。電話も来ない。
どうしよう。
もう少し広い範囲を、名前を呼びながらもう一度走って探す。
いない。
何か言ってた?射的?オレは射的にするって言ってた。今来た道を戻って射的の屋台に行ったのかも?
健太ならやりかねない。
走る。
人にぶつかって謝りながら、走る。
射的のところまで戻ってきた。
いない。
はぐれてからもう15分経ってる。
誰かに連れて行かれたとしたら。血の気が引く。
手が震えだした。
落ち着け、迷子を届けるところに行ってみよう。どこだろう。