食わずぎらいがなおったら。
複雑に何度か曲がった後、屋台の隣が屋根とテーブルの簡易食堂になっているお店についた。
赤い顔の大人達に囲まれて、健太が楽しそうに何やら食べている。
「健太ーー」
「香ちゃん!みて!スーパーボール!」
「勝手にどっか行っちゃダメって言ったでしょ」
「オレ、スーパーボールみてくるっていったよ。香ちゃんくるのまってたのに」
おっと、逆ギレだ。ため息をつく。
そうだ、健太は自信満々で、自分に手助けなんていらないと思ってる。
「健太。迷子じゃなくても、心配するから」
睨んでくる。
ちがう、たぶんこれだと響かない。
しかたない、奥の手だ。
「ねぇ、さみしいから置いてかないで。離れないでそばにいて」
「しょうがないなあ」
「ずっと手をつないでて。いい?」
「…いいよ」
よし。これならたぶん、今日は離れないでいてくれる。
おー、となんだか低い声があがっている。私の育児スキルに恐れ入ったか、酔っ払い達。
「すみません、うちの子がお世話になりました」
平内のお友達のみなさんにお礼を言って、行くよ、と健太に声をかける。
「えー、オレまだ食べてる」
「香ちゃんも一緒に食べてきなよ」
屋台のお兄さんも親切だけど、平内が嫌がってそうだし、退散したほうがいい。
「ありがとう。でも健太と射的やるって約束してるし、遅くなっちゃいそうだから」
「オレおそくてもへいきだよ」
「バスなくなったらどうすんの。怖いおじさんとか来たら危ないでしょ」
「じゃーやきそばかってよ」
「だから、焼きそばは私が作ってあげるから」
健太ー。ここは言うこと聞いてよ。
「なんか2人の世界だなあ。いいな健太。こんなきれいなお姉さんと2人きりでお泊りか」
「そうだよ。オレ、香ちゃんとけっこんするんだよ。ね?」
かわいいなぁ、健太は。にこっとしておく。
「おばさんとは結婚できないぞ、健太」
「香ちゃんはおばさんじゃないよ」
「そういう意味じゃねえよ。ママの妹はダメなんだよ」
ちょっとちょっと、酔っ払いのみなさん。
余計なこと言わないでよ、子供が言ってるだけなんだからさ。
「射的って入口のほうにあったやつ?行ける?」
平内に聞かれたけど、そもそもここから境内にも戻れなそう。
連れてく、とつぶやくと健太のほうを向いた。
「行くぞ健太。早くしないと、香ちゃんもらっちゃうぞ」
そういうと健太が慌てて立ち上がった。
ほぉ。女の子だけでなくて子供の扱いもうまいんだ。
さすが。
赤い顔の大人達に囲まれて、健太が楽しそうに何やら食べている。
「健太ーー」
「香ちゃん!みて!スーパーボール!」
「勝手にどっか行っちゃダメって言ったでしょ」
「オレ、スーパーボールみてくるっていったよ。香ちゃんくるのまってたのに」
おっと、逆ギレだ。ため息をつく。
そうだ、健太は自信満々で、自分に手助けなんていらないと思ってる。
「健太。迷子じゃなくても、心配するから」
睨んでくる。
ちがう、たぶんこれだと響かない。
しかたない、奥の手だ。
「ねぇ、さみしいから置いてかないで。離れないでそばにいて」
「しょうがないなあ」
「ずっと手をつないでて。いい?」
「…いいよ」
よし。これならたぶん、今日は離れないでいてくれる。
おー、となんだか低い声があがっている。私の育児スキルに恐れ入ったか、酔っ払い達。
「すみません、うちの子がお世話になりました」
平内のお友達のみなさんにお礼を言って、行くよ、と健太に声をかける。
「えー、オレまだ食べてる」
「香ちゃんも一緒に食べてきなよ」
屋台のお兄さんも親切だけど、平内が嫌がってそうだし、退散したほうがいい。
「ありがとう。でも健太と射的やるって約束してるし、遅くなっちゃいそうだから」
「オレおそくてもへいきだよ」
「バスなくなったらどうすんの。怖いおじさんとか来たら危ないでしょ」
「じゃーやきそばかってよ」
「だから、焼きそばは私が作ってあげるから」
健太ー。ここは言うこと聞いてよ。
「なんか2人の世界だなあ。いいな健太。こんなきれいなお姉さんと2人きりでお泊りか」
「そうだよ。オレ、香ちゃんとけっこんするんだよ。ね?」
かわいいなぁ、健太は。にこっとしておく。
「おばさんとは結婚できないぞ、健太」
「香ちゃんはおばさんじゃないよ」
「そういう意味じゃねえよ。ママの妹はダメなんだよ」
ちょっとちょっと、酔っ払いのみなさん。
余計なこと言わないでよ、子供が言ってるだけなんだからさ。
「射的って入口のほうにあったやつ?行ける?」
平内に聞かれたけど、そもそもここから境内にも戻れなそう。
連れてく、とつぶやくと健太のほうを向いた。
「行くぞ健太。早くしないと、香ちゃんもらっちゃうぞ」
そういうと健太が慌てて立ち上がった。
ほぉ。女の子だけでなくて子供の扱いもうまいんだ。
さすが。