食わずぎらいがなおったら。



泣いた。


今度こそ、こらえきれずに机に被さるようにして泣いた。






怯えていたことに、気がついた。

認めて欲しかった。ここにいていいって。

役に立つから、いてもいいって。




できないって言ってもいいなんて。

できなくても、いてもいいなんて。

考えたことも、なかった。





泣きながら、恋愛以外でも世界が違って見えるようなことがあるんだと、バカみたいなことを思った。

恋愛だって、もうずっとうまくいってないのに。




どのくらいそうして泣いていたか、わからない。



顔を上げたら田代さんがいて、今日は帰っていいよ、タクシー呼ぶから、と言ってくれた。

私のバッグがもういつの間にか会議机の上に置いてあって。

誰が持ってきてくれたの?真奈?平内?見られた?こんなとこ。



「これ、誰が」

「俺。一度出てったの、気づいてないのか」

ふー、と田代さんがため息をつく。

「平内が、家近いからついてこうかって言ってたけど、断っといたよ」

「はい」

なんで、怒ってるんじゃないの、と驚いて。

もし怒ってなくても、今は無理、と思った。

こんなぐちゃぐちゃなとこ、見られたくないよ、平内には。
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