食わずぎらいがなおったら。


翌朝は誰よりも早く出社して、とにかく来る人みんなにお礼を言って、あとはやるべきことをやった。

できる自分でいなくてもいい、と思った途端に逆に動けるようになった。

何をあんなに苦しんでいたんだっけ。そう思うくらいに。



時間のない中で、真奈には仕事を教え直して自分でチェックできるように励ました。

真奈は幸いへこんでなくて、素直になんでも取り組んでくれた。



「私やっぱり香さんが好きですから」

と謎の宣言をされる。嫌われてたわけか。正直な子だなぁ。



「ありがと。ごめんね、余裕がなくて、ちゃんと面倒みてなくて」

こんな若い子と男を取り合ってるってどうなのよ、ってなんか笑えてきて。

やっぱり全然わかんない、どうすればいいのか。










平内は、トラブル対応でまだ関わりがあって、仕事では普通に話してくれても、それだけ。

もう怒ってなさそうなことにほっとしつつも、もう終わったことになったのかなって思ったりもする。

自業自得なんだけど。





最初に思ったより影響範囲が小さかったトラブルが収束して、真奈が考えてきた原因と対策についても武田を交えて片がついた。

私の担当していた仕事は、だいぶ各チームに返された。

できない人認定か、とやっぱり切なかったけど、米沢は便利屋じゃないと田代さんが宣言したせいらしい。

じゃあ私はいったいなんなのかは、いまだわからない。わからないけど、好きなこと得意なことを優先して回していくことにした。




とにかく、残業続きも思ったより早めに終わりだ。



平内と話してみなくちゃ。怖いけど、話さなきゃ。

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