食わずぎらいがなおったら。
平内の空腹
土曜の朝は秋晴れで。
無駄にドライブ日和だなぁ、助手席どうしよう、2人で後ろに乗るのも変かなぁ。空を見上げて考える。
落ち着かなくて、早めに出てきちゃった。
路肩に停まった車から、プッと軽いクラクションが聞こえた。平内?早いね。
真奈はまだ来ていない。
車に走り寄ると、助手席のドアを内側から押し開けてくれた。
乗っちゃうわけにも行かないし、ドアを開けて外から話しかける。
「おはよ。寝起き悪いのに早いね」
言った瞬間に後悔した。
何言ってんの私、寝起きとか。あの時しかそんなの見てるわけないのに!
慌てて早口で付け足す。
「真奈がまだなの、まだ時間あるけど連絡してみようか」
「真奈ちゃん来れなくなったって」
「え? なんで?」
「お母さんが病院行くからとか下手な言い訳してたけど、わざとだろうね。ま、とりあえず乗って」
なんでもないことみたいに平内が言って、手で隣を示す。
2人だったらね、隣でいいんだよね。とりあえず乗り込む。
わざとって、どういうこと。
「真奈ちゃんなりに気を回したんじゃないの」
私の疑問がわかったのか、淡々と平内が言う。
私のため? 真奈が?
なんで急にそんなこと。最初からそのつもりで平内を誘ったの?
「香さん、そんな嫌な顔すると俺も傷つくよ、さすがに」
「嫌な顔なんかしてないよ」
考えてただけ。
真奈はともかく、平内はこの状況をどう思ってるんだろう。相変わらずの落ち着きっぷりで、わかんないんだけどこの人。
「買いたいものってだいたい決まってるんだよね?」
「うん。でも一応真奈の意見も欲しいかなって」
「俺の意見でいいんじゃないの」
「…まぁ、いいけど」
憎まれ口を叩いたけど、そりゃ2人のほうが嬉しいよ。
でもここでウキウキしちゃったりしたら、嫌がってたってわかっちゃうし。
わざとってどういうこと、真奈と何かあったのって聞きたかったけど、今から出かけるのに変な雰囲気になっても困るし、聞けなかった。
まあ、いいけど。
なるようになるって思うことにしたんだよね、私。
そう、ドライブ日和なんだ。助手席で楽しんじゃってもいいのかな、今日は。
無駄にドライブ日和だなぁ、助手席どうしよう、2人で後ろに乗るのも変かなぁ。空を見上げて考える。
落ち着かなくて、早めに出てきちゃった。
路肩に停まった車から、プッと軽いクラクションが聞こえた。平内?早いね。
真奈はまだ来ていない。
車に走り寄ると、助手席のドアを内側から押し開けてくれた。
乗っちゃうわけにも行かないし、ドアを開けて外から話しかける。
「おはよ。寝起き悪いのに早いね」
言った瞬間に後悔した。
何言ってんの私、寝起きとか。あの時しかそんなの見てるわけないのに!
慌てて早口で付け足す。
「真奈がまだなの、まだ時間あるけど連絡してみようか」
「真奈ちゃん来れなくなったって」
「え? なんで?」
「お母さんが病院行くからとか下手な言い訳してたけど、わざとだろうね。ま、とりあえず乗って」
なんでもないことみたいに平内が言って、手で隣を示す。
2人だったらね、隣でいいんだよね。とりあえず乗り込む。
わざとって、どういうこと。
「真奈ちゃんなりに気を回したんじゃないの」
私の疑問がわかったのか、淡々と平内が言う。
私のため? 真奈が?
なんで急にそんなこと。最初からそのつもりで平内を誘ったの?
「香さん、そんな嫌な顔すると俺も傷つくよ、さすがに」
「嫌な顔なんかしてないよ」
考えてただけ。
真奈はともかく、平内はこの状況をどう思ってるんだろう。相変わらずの落ち着きっぷりで、わかんないんだけどこの人。
「買いたいものってだいたい決まってるんだよね?」
「うん。でも一応真奈の意見も欲しいかなって」
「俺の意見でいいんじゃないの」
「…まぁ、いいけど」
憎まれ口を叩いたけど、そりゃ2人のほうが嬉しいよ。
でもここでウキウキしちゃったりしたら、嫌がってたってわかっちゃうし。
わざとってどういうこと、真奈と何かあったのって聞きたかったけど、今から出かけるのに変な雰囲気になっても困るし、聞けなかった。
まあ、いいけど。
なるようになるって思うことにしたんだよね、私。
そう、ドライブ日和なんだ。助手席で楽しんじゃってもいいのかな、今日は。