食わずぎらいがなおったら。


翌日、武田が寄ってきた。

「平内、リーダー会議で発表とかしてて、すっかり田代さんに気に入られてると思ったんだけど、なんで手放してんだろな」

「リーダー会議で?なんで?」

「んー、あいつ頭いいじゃん。業界動向とか俺たちが気づいてないようなことまとめてきて。知り合いが会社やってるとか言ってたし、ちょっと違うんだよな、見てるところが」

へえ、そうなんだ。よく見えてるなとは思ってたけど、そんなことやってるんだ。

俺も手伝ってるって言ってたのは、それか。



「今、そういうのかっこいいかも、とか思っただろ」

「え?」

「最近声かけても合コンも来ないらしいし、遊んでないって評判だったんだよ、あいつ」

「ふーん、そう」

「どこがよかったわけ?」

武田には、昨日飲みに誘われた時につきあってること言ったって聞いた。

言わないでって言ったのに、もう。



「何よ」

「俺には聞く権利があると思うけど」

まあね。散々お世話になったよね、昔。武田がいなかったら、きっともっと荒れてたなぁ。

「気づくといつもいてくれたから、かな」

「そっか」

なんだろ、ため息をついて去っていく。




もうちょっとなんかあるでしょ、普通。よかったな、とか。

やっぱり私とだとタケルがかわいそうとか思うのかなぁ、武田でも。男関係の噂が多いもんね、ちゃんと否定しとけばよかったな。


もう少し内緒にしておこう、他では。

< 67 / 85 >

この作品をシェア

pagetop