食わずぎらいがなおったら。
翌日、武田が寄ってきた。
「平内、リーダー会議で発表とかしてて、すっかり田代さんに気に入られてると思ったんだけど、なんで手放してんだろな」
「リーダー会議で?なんで?」
「んー、あいつ頭いいじゃん。業界動向とか俺たちが気づいてないようなことまとめてきて。知り合いが会社やってるとか言ってたし、ちょっと違うんだよな、見てるところが」
へえ、そうなんだ。よく見えてるなとは思ってたけど、そんなことやってるんだ。
俺も手伝ってるって言ってたのは、それか。
「今、そういうのかっこいいかも、とか思っただろ」
「え?」
「最近声かけても合コンも来ないらしいし、遊んでないって評判だったんだよ、あいつ」
「ふーん、そう」
「どこがよかったわけ?」
武田には、昨日飲みに誘われた時につきあってること言ったって聞いた。
言わないでって言ったのに、もう。
「何よ」
「俺には聞く権利があると思うけど」
まあね。散々お世話になったよね、昔。武田がいなかったら、きっともっと荒れてたなぁ。
「気づくといつもいてくれたから、かな」
「そっか」
なんだろ、ため息をついて去っていく。
もうちょっとなんかあるでしょ、普通。よかったな、とか。
やっぱり私とだとタケルがかわいそうとか思うのかなぁ、武田でも。男関係の噂が多いもんね、ちゃんと否定しとけばよかったな。
もう少し内緒にしておこう、他では。