食わずぎらいがなおったら。
結局歩けなくなってタケルに迎えに来てもらった。



「何やってんの、女2人で」

「すいません、こんなに弱いって思わなくて私が結構飲ませちゃって。さっきまで平気そうにしてたんですけど」

「足に来るんだよ、この人」

「香さん、大丈夫ですか?」

「香、タクシー乗るから、せめてそこまで頑張って」

聞こえるんだけど、答えられない。身体がついていかない。

肩を支えられたまま、なんとか歩いてく。




「心配ですね、こんな弱いと」

「こんな酔ってるとこ見たことないけどな。真奈ちゃん何したの?」

「えー、なんにもしてませんけど。でもなー、私が男だったらお持ち帰っちゃうな、これ」

「こんなんでよく今まで無事だよな。武田さんとかほんと尊敬するよ」



なんで武田?武田だってそんなにお酒強くないし、むしろ飲みすぎるなっていつも言われてたよ。

「武田に、飲まされたことなんて、ないよぉ」

「何、聞いてんの?」

ちょっとは抜けてきたかな、しゃべれそう。



「武田ねぇ、ため息ついてた。私とじゃぁ、タケルがかわいそうだぁって思ってんだよ」

「そんなわけないだろ、酔っ払い」

タケルが、支えてる手に力を入れ直しながら言う。

「やめてください!私の前でいちゃいちゃとか、さすがに無理です!」



真奈がうるさい。これのどこがいちゃいちゃなんだって。

この会社の人達って、すぐそういうこという。ほんとちょっと変。
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