せめて、もう一度だけ
田辺さんはしばらく考えたあと、


「ミキ明日休み?」


突然変なことを聞いてきた。


「はい、明日は小宮さんがいらっしゃるので」


「じゃーさ、明日俺と遊ばない?」


「えっ、どうしてですか?」


「俺も明日休みだし、今日のお礼をしたいからさ」


「いいですそんなお礼なんて、気にしないでください」


「俺が遊びたいんだから、つきあえよ」


「そんなこと突然言われても・・・」


「じゃーさ、明日晴れたら出かけるっていうのはどう?」


明日の天気予報、どうだったかな。


「いーじゃん別に、せっかく同じ会社で働いてるんだし」


「でも・・・」


なぜかキッパリ、断ることができない。


こんな風に強引に、誘われたことがなかったから。


「とりあえず、連絡先教えて」


「えっ?」


私が自分のバッグから見えているスマホに視線を投げた瞬間、田辺さんは私のスマホをサッとつかんだ。


慣れた動作で、何かを打ちこんでいる。


「俺と同じ機種だから、やりやすい」


「あ、あの・・・」


「じゃ、明日の10時に」


紙袋を持って、休憩室を出ていってしまった。



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