せめて、もう一度だけ
10時少し前にコンビニについたら、クラクションが聞こえた。
そっちの方を見ると、青いスポーツカーの運転席で手を振っている田辺さんがいた。
スポーツカー、乗るの初めてだ。
「おはよ」
「おはようございます」
田辺さんはわざわざ車を降りて、助手席のドアを開けてくれた。
茶髪に作業着姿しか見たことなかったから、私服はどうなんだろうって思ったけど、カーキのパーカーにベージュのコーデュロイパンツにスニーカーっていう、ごくごく普通の服装だった。
「すみません」
「飲み物とかいる?」
「いえ、特には」
「ま、そんなに遠出はしないけどな」
そのまま、車を走らせた。
うちの車と全然違う加速スピードに戸惑ったけれど、すぐに慣れた。
「あの、どこへ行くんですか?」
「ヒミツ。
ミキさ、その敬語やめろよな、仮にも年上だろ」
「仮にもって、仮じゃないです」
「ダンナにも敬語なわけ?」
「そんなことはないですけど」
「じゃあ俺にも普通に話せるだろ」
「でもまだ、知り合ったばかりですし」
「じゃ、今日の目標な」
「目標、ですか?」
「俺とタメ口で話せってこと」
そっちの方を見ると、青いスポーツカーの運転席で手を振っている田辺さんがいた。
スポーツカー、乗るの初めてだ。
「おはよ」
「おはようございます」
田辺さんはわざわざ車を降りて、助手席のドアを開けてくれた。
茶髪に作業着姿しか見たことなかったから、私服はどうなんだろうって思ったけど、カーキのパーカーにベージュのコーデュロイパンツにスニーカーっていう、ごくごく普通の服装だった。
「すみません」
「飲み物とかいる?」
「いえ、特には」
「ま、そんなに遠出はしないけどな」
そのまま、車を走らせた。
うちの車と全然違う加速スピードに戸惑ったけれど、すぐに慣れた。
「あの、どこへ行くんですか?」
「ヒミツ。
ミキさ、その敬語やめろよな、仮にも年上だろ」
「仮にもって、仮じゃないです」
「ダンナにも敬語なわけ?」
「そんなことはないですけど」
「じゃあ俺にも普通に話せるだろ」
「でもまだ、知り合ったばかりですし」
「じゃ、今日の目標な」
「目標、ですか?」
「俺とタメ口で話せってこと」