せめて、もう一度だけ
土日は天気よかったのに、特にどこへも行かなかった。
普段はできない念入りな掃除をしたり、録画していた映画を観たりした。
諒も隣で一緒に観ていたけど、いちいち内容にコメントするから耳障りだった。
「黙って観たら?」
って言いたかったけど、たぶん、同意できる話だったら納得するんだと思う。
同じ家に暮らしているのに、たいして会話がないことにも、別々のことをしていることにも、慣れすぎてしまった。
そして、ふとした瞬間に、田辺さんのことを思い出す。
動物園ではしゃいでいた姿。
かっこよくて、さすがプロって感心した縦列駐車。
おもしろくて笑いっぱなしだった会話。
不器用なキスの感触。
そして、月曜日になり。
田辺さんの声も聞けず、姿も見えない3日目。
諒の存在を気にしているのか、電話はもちろん、メールもなかった。
何も連絡がないと、不安がおしよせる。
そもそも、遊びなんじゃないかとか。
遊ぶなら、もっと若くてめんどくさくない独身の女の子にすればいいのに、とか。
モヤモヤしたままパート先に向かい、自転車を停めていたら、後ろから頭をコツンと叩かれた。
普段はできない念入りな掃除をしたり、録画していた映画を観たりした。
諒も隣で一緒に観ていたけど、いちいち内容にコメントするから耳障りだった。
「黙って観たら?」
って言いたかったけど、たぶん、同意できる話だったら納得するんだと思う。
同じ家に暮らしているのに、たいして会話がないことにも、別々のことをしていることにも、慣れすぎてしまった。
そして、ふとした瞬間に、田辺さんのことを思い出す。
動物園ではしゃいでいた姿。
かっこよくて、さすがプロって感心した縦列駐車。
おもしろくて笑いっぱなしだった会話。
不器用なキスの感触。
そして、月曜日になり。
田辺さんの声も聞けず、姿も見えない3日目。
諒の存在を気にしているのか、電話はもちろん、メールもなかった。
何も連絡がないと、不安がおしよせる。
そもそも、遊びなんじゃないかとか。
遊ぶなら、もっと若くてめんどくさくない独身の女の子にすればいいのに、とか。
モヤモヤしたままパート先に向かい、自転車を停めていたら、後ろから頭をコツンと叩かれた。