せめて、もう一度だけ
「どうぞ」
「お、おじゃまします・・・」
ノコノコついてきちゃったけど、密室ってことは、もしかすると・・・なんて、不純なことを考えてしまう。
男子の部屋にしては小綺麗というか、あんまり物がない気がする。
会社をはさんで、うちとはちょうど正反対の方向にあるアパートで、こっち方面にはほとんど来たことなかった。
「はい」
遼くんが持ってきたのはホットココア。
意外な組み合わせに思わず笑うと、
「あっ、いま俺とココアが似合わねーとか思っただろ?」
・・・バレた。
「うん、甘いもの好きだってこの前は言ってたけど、食べ物だけかと思ったから」
「いいだろ、別に」
テレビもついてなくて、BGMもない部屋だから、会話がないと静けさだけを感じる。
何か話さなきゃ、って焦ってばかりで、何も思いつかない。
「ミキ、この前の返事聞かせて」
「返事?」
「俺はミキが好きで、ふたりの時間をつくってほしいってこと」
私の気持ちは、諒より遼くんに向いている。
それは、自分でもよくわかってる。
だけど、諒と離婚するなんて、想像できない。
だから、遼くんに許してもらえるかわからないけど、都合のいいオンナになるしかない。
「私も、遼くんが好きだよ。
でもね、夫との生活を捨てる勇気はないんだ。
こんなのズルいよね、だけど、夫とうまくいってなくても、やっぱり裏切れない」
「うまくいってないのに、なんで一緒にいるわけ?」
「お、おじゃまします・・・」
ノコノコついてきちゃったけど、密室ってことは、もしかすると・・・なんて、不純なことを考えてしまう。
男子の部屋にしては小綺麗というか、あんまり物がない気がする。
会社をはさんで、うちとはちょうど正反対の方向にあるアパートで、こっち方面にはほとんど来たことなかった。
「はい」
遼くんが持ってきたのはホットココア。
意外な組み合わせに思わず笑うと、
「あっ、いま俺とココアが似合わねーとか思っただろ?」
・・・バレた。
「うん、甘いもの好きだってこの前は言ってたけど、食べ物だけかと思ったから」
「いいだろ、別に」
テレビもついてなくて、BGMもない部屋だから、会話がないと静けさだけを感じる。
何か話さなきゃ、って焦ってばかりで、何も思いつかない。
「ミキ、この前の返事聞かせて」
「返事?」
「俺はミキが好きで、ふたりの時間をつくってほしいってこと」
私の気持ちは、諒より遼くんに向いている。
それは、自分でもよくわかってる。
だけど、諒と離婚するなんて、想像できない。
だから、遼くんに許してもらえるかわからないけど、都合のいいオンナになるしかない。
「私も、遼くんが好きだよ。
でもね、夫との生活を捨てる勇気はないんだ。
こんなのズルいよね、だけど、夫とうまくいってなくても、やっぱり裏切れない」
「うまくいってないのに、なんで一緒にいるわけ?」