せめて、もう一度だけ
会社に着いてタイムカードを押し、休憩室の冷蔵庫へお弁当を入れた。


朝の休憩室には、誰もいなかった。


勝手に遼くんのお弁当まで作ってきちゃったけど、どうやって伝えよう。


もう出勤してるかもしれないと思ってドアを開けたら、目の前に人がいて思いっきりぶつかってしまった。


「ご、ごめんなさい」


見上げたら、遼くんが笑っていた。


「おはよ。


俺じゃなかったら、この状況許さねーぞ」


ハッと気づくと、まるで遼くんの胸に飛びこんでいるみたいだった。


「あ、ご、ごめんね」


慌てて離れようとしたら、不意に唇が重なった。


「隙あり」


いたずらっぽく笑う遼くんが、たまらなく愛おしかった。


「だ、誰かが見てるかもしれないのに・・・」


「誰もいねーし。


ところでミキ、ここで何してんの?


昼飯まだだぞ?」


「違う違う、おひるのサンドイッチを冷蔵庫に入れに来たの。


あ、遼くんのもあるから、その、迷惑じゃなかったら、食べて」


「迷惑なわけねーじゃん、超うれしい」


遼くんはそう言って、私の髪をなでた。





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