せめて、もう一度だけ
「私にできるのは、『離婚したい』って言い続けることだけだから」


「愚痴ならいつでも聞くから」


「愚痴なんて言わないよ」


「言えよ何でも。


俺は、ミキの味方だし、全部知りたいんだから」


「ありがとう」


「腹減ったな、何か食べに行く?」


時計を見たら、もうすぐ12時だった。


「サンドイッチ作ってきたんだ」


「俺、ミキのサンドイッチ超好きなんだけど」


そう言って笑う遼くんを見たら、その笑顔のためなら何だってできる気がした。


「なに飲む、やっぱりココア?」


「そんなに子ども扱いすんなよ」


「だって、好きでしょココア」


「好きだけどさ、なんか、年下だって意識させられてるみたいで」


「そんなことないよ、ココア好きだからって子どもっぽいなんて思わないし」


「じゃ、俺がアイスココア作るから」


「じゃ、私は見てよっと」


ニヤニヤしながらキッチンに向かうと、遼くんは照れたようにコップをふたつ出した。



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