せめて、もう一度だけ
求めてゆく
本当の気持ちを伝えたあとも、諒の態度は変わらなかった。


私は、何度か離婚の話を切り出したけど、


「俺は、離婚する気ないから」


って、まるでとりあってもらえなかった。


家事をやる気も失せたけれど、自分が暮らしている以上、必要最低限のことは義務感でこなした。



遼くんとの距離は、どんどん近づいていって。


お互いの休みをなるべく合わせて、ふたりで過ごした。


遼くんと一緒に過ごしているだけで、落ち着いた。



そんな感じで1ヶ月がたち、私は市役所で離婚届をもらってきた。


必要事項を記入して捺印して、封筒に入れた。


引き出しにしまって、いつでも渡せるように準備した。



そして、7月のある日。


「俺、来週の水曜から金曜まで仙台へ出張だから、準備よろしくな」


朝ごはんを食べていたら、諒が唐突に話した。


「わかった、準備しとく」



その瞬間、私の頭には、


『遼くんとずっと一緒にいられる』


っていう言葉が浮かんだ。



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