せめて、もう一度だけ
来週、諒がいない木曜日に、車で山梨へ行くことにした。


梅雨も明けたし、暑いけれど楽しいドライブになりそう。


その日の夜は、遼くんのアパートに泊まる。


木曜はふたりで仕事を休んで、金曜は一緒に出勤する。


考えただけで、フワフワした気持ちになってしまう。


こんな気分、何年ぶりだろう。



だけど、小宮さんから聞いた話が、少しひっかかっていた。


私の知らない遼くんを知りたい気もするし、知らなくていい気もする。


来週までに、聞くかどうか決めよう。


何を持っていくか、何を着ていくか、そんな楽しい想像をすることで、不安な気持ちをおさえこんだ。








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