せめて、もう一度だけ
面接はトントン拍子に進み、事務長の中年男性は、


「悪いんだけど、もし来れるなら明日からさっそく来てもらえないかな?


前任者が体調崩して入院してしまってね、困ってるんだよ」


人の良さそうな感じで頼んできた。


「わかりました、では明日水曜の9時にうかがいます」


「助かるよ、じゃあよろしくね」


そう言うと、忙しそうに自分の席へ戻っていった。


明日から仕事が始まる。


こんな私でも、誰かに必要とされていると思うと、嬉しかった。


もうすぐ咲きそうな桜のつぼみの下を、自転車で帰った。



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