せめて、もう一度だけ
動いてゆく
今日からパートが始まる。


いつも諒に作っているお弁当を、今日は二人分作った。


「いってらっしゃい」


「いってきます。


美希子、パート無理するなよ」


「うん、わかった」


洗濯は朝食前に済ませたから、掃除をして8:30に家を出た。



「おはようございます」


「おはよう松永さん、早いね」


事務長の斉田さんがすでに出勤していた。


「始業前にすることがあるかもと思いまして」


「気を使ってもらって悪いね、じゃあ歩道の掃除を頼むよ」


雨の日以外は、事務所のみんなで掃除をしているそうだ。


制服はなくて、動きやすい服装の上にお揃いのジャンパーを着ればいい。


目立つオレンジのジャンパーは少し恥ずかしかったけど。



掃除をしていたら、トラックが数台戻ってきた。


「お疲れさまです」


みんながドライバーさんに声をかけている。


近くに来たドライバーさんに、私も声をかけた。


「お疲れさまです」


「おまえ、今日から出勤か」


顔を見ると、昨日自転車を運んでくれた田辺遼さんだった。


「はい、昨日は自転車ありがとうございました、よろしくお願いします」


「せいぜい頑張れよ」


田辺さんはそのまま事務所へ入っていった。



私の仕事は、伝票整理・ドライバーさんの運行情報管理・もう少し慣れたら荷物の整理や電話応対もするらしい。


隣の席の小宮さんが優しく教えてくれて、ホッとした。


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