せめて、もう一度だけ
そして、お昼休み。


お昼は交代制で、休憩室で食べることになっている。


休憩室のドアを開けたら、田辺さんが上半身裸で着替えていた。


「キャーッ!」


思わず叫ぶと、田辺さんはケロッとした顔。


「なんだおまえか、まだ誰もいないかと思ってさ」


「こ、更衣室はないんですか?」


「あるけど、そこまで行くのめんどくせーし」


「は、早く服を着てください」


「いーじゃん別に、男の裸に驚く年じゃないだろ」


ブツブツ言いながらも、Tシャツを着てくれた。


「そういえばさ、おまえ名前なんていうんだ?」


「松永です」


「松永?」


「松永、美希子です」


「ミキちゃんか」


「あの・・・ミキちゃん、っていう年じゃないんですけども」


「マジで?俺とタメぐらいだと思ってさ。


ミキいくつ?」


『ちゃん』を取ればいいってことじゃないんだけどな、と思いつつ、私は正直に答えた。


「・・・33歳です」


「俺の4コ上か、見えねーな」


4つも年下か。


なぜか、ガッカリしている自分がいた。







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