せめて、もう一度だけ
想ってゆく
仙台へ来て、1ヶ月が過ぎた。


こっちの環境に慣れるのに必死で、あっという間だった。


でも、遼くんのことを想わない日は、1日もなかった。


料理を作りながら、遼くんがおいしそうに食べてくれた様子を思い出した。


スーパーでココアを見ると、ふうふうしながらココアを飲む遼くんを思い出した。


遼くんとふたりでみたテレビ番組。


遼くんがほめてくれたネイル。



遼くんがなでてくれたおなかは、少し大きくなった。



ねえ、遼くん。


私のことは、忘れてくれたよね?


一度も連絡がないのが、その証拠だよね。



私は、忘れてないよ。


忘れられないよ。


知り合いが一人もいない仙台で、なんとかやっているけど。


諒は仕事が忙しくて、まともに会話できないし。



遼くんに、会いたい。







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