ビター・アンド・スイート
「じゃあ、また。」と言って、ナオトはフラリと立ち上がって出て行く。
「また。はあり得ない。
もう、2度と、連絡してくるな。」とリョウが背中にキツク声をかける。
ナオトは
「またねえー。」とゲラゲラ笑いながら帰って行った。
深夜1時。
こんな時間に大声で笑うなんて、近所迷惑だ。

「コドモ。」とリョウは舌打ちして、店のドアを閉めて、戸締りをする。
私を振り返って、
「別れて正解だ。でも、あいつに甘すぎないか?」と不機嫌な顔で私の顔を見る。

「大甘。」とヤヨイが顔を出す。
聞いていたのか。と、驚く私に、
「あんなヤツ、不幸になればいいのに。」とヤヨイが顔をしかめるので、
「私にも選んだ責任ってヤツがあります。」と言うと、

「俺を選んだ責任もとって。
ほっとけばいいのにって思ったけど、
ハヅキにはムリだって思ってたから
付き合ったんだぞ。
せっかく、婚約した日だっていうのに、
元彼の面倒まで見ちゃって腹立たしい限りだ。
これから、帰ってどうなるか楽しみにしとけよ。
ヤヨイちゃん、明日、ハヅキは三吉屋は休ませる。
連絡しといて。
きっと、ベットから起き上がれない。」
とオソロシイコトをリョウは言って、
ヤヨイの
「きゃー、エッチ。」と言う小さな声に送られて、三吉屋を後にした。


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