ビター・アンド・スイート
「gâteau kazama」
ここだ。
木造の大きな一軒家。
周りの風景に溶け込んで、静かに佇んでいる。
住宅街の始まりの場所。静かで鳥の声もする。
鎌倉は自然がたくさん残っている。そんな印象だ。
「ケーキ見てくる?俺、マメとテラスで待ってる。」
とシロタさんがマメのリードを持った。
風間さんが、どうぞ。と案内してくれる。
木の扉を開けると、
美しいお菓子が眼に飛び込んで来る。
「綺麗。宝石みたい。」と声を出すと、
「昔、あのひとにも言われた。」と風間さんの見つめる先に
「おかえりなさい。」と綺麗な瞳を持ったひとが微笑んでいた。
「ただいま、美咲。仕事終わったの?」
と風間さんは、その人をそっと抱きしめ、頬に唇を付けた。
きっと、風間さんの奥さん。コンクールのケーキの名前にもなっている。
『美咲』さんだ。
そう思って、
「はじめまして。三吉 葉月です。」と挨拶をすると、
「ハヅキちゃんは、和菓子屋さんの娘さんで、
たぶん、目下リョウに口説かれてる真っ最中。」と私を見る。
「いいえ。そんな事はありません。」と慌てると、
「気づいてないってところも、リョウのツボにはまってる。」と、クスクス笑う。
「リョウくんって、照れ屋だから、わかりにくいよねえ。
アプローチが、小学生並み。きになるオンナの子にちょっかいばかり出す。」
と美咲さんがクスクス笑う。
綺麗な人だ。スレンダーだけどオンナらしい雰囲気だ。
私は気にしない振りで、ショーケースを覗き込む。
心臓が大きく音をたてる。
いや、アイツとはそんな関係じゃないはずだ。
ここだ。
木造の大きな一軒家。
周りの風景に溶け込んで、静かに佇んでいる。
住宅街の始まりの場所。静かで鳥の声もする。
鎌倉は自然がたくさん残っている。そんな印象だ。
「ケーキ見てくる?俺、マメとテラスで待ってる。」
とシロタさんがマメのリードを持った。
風間さんが、どうぞ。と案内してくれる。
木の扉を開けると、
美しいお菓子が眼に飛び込んで来る。
「綺麗。宝石みたい。」と声を出すと、
「昔、あのひとにも言われた。」と風間さんの見つめる先に
「おかえりなさい。」と綺麗な瞳を持ったひとが微笑んでいた。
「ただいま、美咲。仕事終わったの?」
と風間さんは、その人をそっと抱きしめ、頬に唇を付けた。
きっと、風間さんの奥さん。コンクールのケーキの名前にもなっている。
『美咲』さんだ。
そう思って、
「はじめまして。三吉 葉月です。」と挨拶をすると、
「ハヅキちゃんは、和菓子屋さんの娘さんで、
たぶん、目下リョウに口説かれてる真っ最中。」と私を見る。
「いいえ。そんな事はありません。」と慌てると、
「気づいてないってところも、リョウのツボにはまってる。」と、クスクス笑う。
「リョウくんって、照れ屋だから、わかりにくいよねえ。
アプローチが、小学生並み。きになるオンナの子にちょっかいばかり出す。」
と美咲さんがクスクス笑う。
綺麗な人だ。スレンダーだけどオンナらしい雰囲気だ。
私は気にしない振りで、ショーケースを覗き込む。
心臓が大きく音をたてる。
いや、アイツとはそんな関係じゃないはずだ。