ビター・アンド・スイート
キッチンでお母さんと2人になる。
「あのね、お母さん。
シロタさんとお付き合いを始める前に
私の身体のことを言っておきたくって。
付き合い始めてからじゃあ、…
好きになってからじゃあ、
上手く言えなくなりそうだって思って、話したの。」と言うと、
母は私に残りのケーキを「どれにする?」と見せながら、で?と言う顔をする。
「シロタさんは私がいればいいって。そう言ってくれた。」とうつむくと、
私の頭を撫で、
「良かったわね。ハヅキはシロタさんが好きなんでしょう?」と言うので、
「どうかな?」と横を向くと、
「手を繋いで勝手口を入ってきた時、
結婚したいっていうのかな。ってそんな風に見えた。
シロタさん、堂々としてたし。
ハヅキを見つめる目がすごく優しかったから、
きっと、ハヅキの事が好きなんだなって思った。
まあ、離婚が成立するまでに半年以上かかってるし、
好きな人が出来ても、私はいいんじゃないかと思いますよ。
また、ハヅキがいなくなったら、
おじいちゃんと、お父さんは寂しがると思いますけど。」と笑って私の顔を見た。
「だから、まだ、付き合ってないって。」と私が怒った声を出すと、
「こっちのチョコケーキにする?」とお母さんが、オペラと呼ばれるケーキをお皿に置いて、
他のケーキを冷蔵庫に入れている。
私は大人しくフォークを手に持った。
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