ビター・アンド・スイート
疲れた。
あんなオトナで素敵なヒトを振ってしまうなんて、私は馬鹿だ。
溜息と一緒に冷めた残りのコーヒーを飲む。

「御飯食べに行こっか。」と私の目の前に城田さんが座る。
満面の笑みだ。
「付いて来てたの?」と怒った声が出てしまう。
「だって、今日、他のオトコと御飯食べるってわかってたのに
そのまま、行かせるわけにいかないでしょ。
そしたら、ホテルに入ってくし、あぶねーって思うじゃん。
まあ、あいつの表情見てたら、ハヅキが振ってたなって思って、
俺を選んだなって思ったら、そのまま帰れなくなっちゃった。」
と無邪気な笑顔を見せた。

気に入らない。
「工藤さんがとのお付き合いは断ったけど、
シロタさんと付き合うなんて言ってません。」と睨むと、
「その、怒った顔がいいって、何度も言ってるじゃん。」
とクスクス笑って、私の手を掴んで歩き出す。
私は引っ張られながら、
「変態。」と小声で言うと、
「吸血鬼ってことにしといて。」と私の顔を楽しそうに見た。
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