ビター・アンド・スイート
「大袈裟だな。」とちょっと呟き笑みがこぼれる。
2時間経てば戻ってくるんでしょ。と思いながら食器を片付け、
ベランダに洗濯物を干す事にした。
外は夏の日差しでいっぱいだ。海が正面に見える。
江ノ島の砂浜は人で溢れている。
ベランダに洗濯物を干していると、
海風が気持ち良い。
昨日のリョウとの事を思い出し、ちょっと顔を赤らめた。

「どこでも開けて良いよ。」とリョウが言ってくれたので、
検討をつけて、廊下の扉を開けると、掃除道具が入っていたので、
部屋に風を通し、掃除機をかけ、床を拭く。
2LDKの部屋は海側に部屋が繋がっているので、どこにいても海が見える。
窓に向かって仕事机が置いてあって
机の上のボックスには書類が山積みになっている。
書類の迷子は嘘って訳じゃなかったのか。とちょっと笑って
今度、ファイリングして良いか聞いてみよう。と手を付けずに置いておく。

ベットは新しいシーツが敷かれ、キチンと整えられていた。
やっぱり綺麗好き。
そっと横になると、知っている匂いがする。
リョウの匂いかな。
私はウトウトと眠くなる。

風通しのいい、陽のあたる部屋。
海の匂いとリョウの匂いもする。
私は大きく深呼吸をする。
この部屋が好きになれそうな気がした。
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