ビター・アンド・スイート
マンションの部屋に着くと
「オーシャンフロントじゃん。」と窓側に立ってヤヨイが機嫌の良い声を出す。
「よく陽が当たりそうね。明るくっていい部屋だわ。」と母も気に入ってくれたみたいだ。
「きゃー、ダブルベッド。新婚って感じい。」
(リョウが私が通うようになってから、新しく買ったモノ)
とヤヨイが隣のベットルームも覗くので、
「勝手に見ないで。」とドアを閉めた。一緒に覗いた母も
「寝室に箪笥とドレッサー置けそうね。」と感想を述べる。
「リョウはあんまり家具がないから助かったわ。」と言うと、
「リョウってここでは呼んでるんだー。」とヤヨイがからかう。
私が顔をしかめると、嬉しそうに私の前を通り過ぎて、バスルームに入っていく。
「コラ。あちこち探検しない。」と言うと、
「リフォーム済み?洗面台とか浴槽新しそう。
あ、歯ブラシ並んでるしいー。」と笑った声を出す。
「お蕎麦を茹でるの手伝って。」と私が機嫌の悪い声を出すと、
「はーい。」と笑いながら手を洗って出てきたみたいだ。

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