ビター・アンド・スイート
お昼ご飯を食べ終えた頃、引っ越し屋さんが荷物を運んで来た。
母に食器を洗ってもらい、ヤヨイと、引っ越しの荷物を片付ける。
ダンボールを数個積んで、箪笥を寝室に運んでもらう。
寝室は少し狭くてなったけど、
両親と、祖父母が揃えてくれた着物は大切にしたい。
リョウも私の着物姿が好きだって言ってくれてるし。
ウォークインクローゼットの中に自分の服を収めていく。
あらかじめ、リョウが自分の服を整理して、
場所を空けておいてくれたので直ぐに整理ができた。
ドレッサーが届いて、化粧品も中にしまうと、
もう、すっかり片付いてしまう。
「ハヅキちゃん、荷物少ないね。」とヤヨイが笑うので、
「これから、ふたりで揃えるんだよ。」と言うと、
「城田さんってハヅキちゃんが欲しいって言えば
なんでも買ってくれそうよねえ。」とヤヨイが笑うので、
「欲しいものくらい自分で買えるようにしたい。」と言うと、
「城田さんは忙しいんだから、あなたも寄り添う努力をしないとね。
仕事はほどほどにしなさい。」と母は私の顔を真面目にみた。
「大切にします。」と言うと、
「2度も出戻って来られても困るんだから。」とヤヨイが笑って、私は
「気をつけます。」と小さな声を出した。
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