ビター・アンド・スイート
リョウはダイニングテーブルの前に座り、
「やれやれ。」とため息をつくと私の顔を見て、
「荷物片付けるのも終わっちゃったの?」
これからどうしよっか。どこかに出かけたい?」と聞くので
「また、お仕事戻らなくっていいの?
私は近所のスーパーで買い物したいんですけど。」と言うと、
「もう、仕事は終わり。散歩しながら買い物行こうか?」と私の瞳をみた。
私がうなずくと、笑って、スーツを着替えに行った。

手を繋いで、海沿いを一緒に歩く。
「散歩は久しぶり。」とリョウは笑って、私に笑いかける。
のんびり歩くと夕暮れになってくる。
「家にハヅキがいるって思うと、仕事に区切りをつけられる。
ずーっと仕事の事を考えなくっていいからいいよ。」と言うので、
「無理に帰って来なくってもいいんですけど。」と言うと、
「俺に会いたくないのかよ。」と機嫌の悪い顔をみせる。
「言い方が子ども。」と上目遣いに見上げると、
「会いたいって言えよ。」と私を睨む。
「言いません。」と顔を背けると、
「ハヅキぃ、初日から喧嘩かよ。」と言うので、
「喧嘩なんてしません。」と言うと、
「アホ。」と指を絡めて手を繋ぎ直し、声を出して笑いあった。
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