ビター・アンド・スイート
料理がどんどん運ばれてきて、
お腹いっぱい、たくさんいただいた。
どのお料理も美味しい。
料理はトオルさんのパートナーでもある
カウンターにいた哲也(てつや)くんの担当みたいだ。
無口だけど、よく目配り出来て、
飲み物がなくなったり、料理を食べ終わったりすると、
そっとやって来て手際よく次の準備をしてくれる。

トオルさんは話し上手で、聞き上手。
トオルさんが座ったどの席からも、笑い声が聞こえてくる。

良いお店だ
きっと、繁盛しているに違いない。

私はとてもくつろいで、少し飲みすぎてしまったらしい。
うとうと眠くなる。
リョウは私を膝に寝せ、
なにやら颯太さんと楽しそうに話している。

「この学級委員はみかけだおしねえ。」とトオルさんが笑って、掛け物をかけてくれる。
「可愛いでしょ。」とリョウの笑った声が聞こえた。

「きっと慣れない暮らしで少し疲れちゃったかな。」と美咲さんがそっと言う。
「うん。箱入り娘が家を出て、俺についてきてくれた。大切にしたい。」とリョウが私の髪を撫でる。
「ラブラブう」とトオルさんの声が聞こえる。
「うるせー。」とリョウが言って、私の頭に唇をつけた気配がした。
< 80 / 131 >

この作品をシェア

pagetop