ビター・アンド・スイート
私とヤヨイはリビングでお昼寝しをしたり、テレビをみたりしてのんびりする。
リョウが夜迎えに来てくれる予定になっているので、
久しぶりの長い滞在(?)で実家は楽チンとゴロゴロしてしまう。
これで、お母さんとおばあちゃんのお小言がなければサイコーなんだけど、
「ハヅキ、ヤヨイ、夕飯を作るのくらい、手伝いなさい。」と言われ、
シブシブ立ち上がろうとすると、
「ハヅキちゃん、スマホ鳴ってる。」とヤヨイが私のバッグから、スマホを取り出しす。
ヤヨイは、画面を見て、思い切り顔をしかめて
「…着拒。」と操作する。こら、人のスマホに何するの?
「ハヅキちゃん、なんで着拒の設定にしてないの?」とヤヨイが機嫌の悪い顔を私に向ける。
「?」と渡された画面をみると、水島 直人(みずしま なおと)の文字。
かつての夫だ。
「…別れてから電話が来たのは初めてかも。」と画面から目を離せず、呟いていると、
「リョウ君に知らせとく。」とヤヨイはメールを送っているみたいだ。
「やめて、ヤヨイ。いま、仕事が大切なところなの。」と止めようとしたけど、
「もう、送った。リョウ君、後から知ったら、きっと怒るじゃん。
きっと、私までとばっちり受けるし。」と機嫌の悪い声で私の顔を見て、
「ハヅキちゃんがひとりの時じゃなくてよかったよ。
きっと、リョウ君に黙ってて、後からオオゴトになる。」と私の顔を真面目に見た。
「…そんな事にはならないって思うけど…」と言いながら、
私は今更、何の用だろう。
とちょっと、不安になっていくのがわかる。
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