ビター・アンド・スイート
後ろの狭い事務室から、男性が顔をのぞかせ、
「ウミノさん、この人ですか?」と私に顔を見て、
「店長の石橋です。」と私に笑いかけたのは、
20代後半の銀縁眼鏡のひょろりと背の高い
のんびりした笑顔の男性だ。
「三吉 葉月です。」と頭を下げると、、
「早く慣れて、俺を本社に戻してくださいね。
俺の夢は三吉屋の和菓子を全国に売る事なんだから。」と笑った。
「ハヅキさん、石橋は若いけど、和菓子に詳しい男です。
先ずはこいつに付いて、和菓子について学んでください。」
とウミノさんが私に笑いかけた。
「よろしくお願いします。」と私が頭を下げると、
「三吉さん、俺もハヅキさんって呼んでいい?
三吉屋で三吉さんじゃあ、和菓子に詳しそうでしょ。」と私の顔を覗くので
「そうしてください。」と私は石橋さんと、木下さんの顔を見た。

とりあえず、今日からここが私の職場だ。
そう思って、静かな和菓子屋を見回すと、
目の前の賑やかなケーキ屋が目に入った。
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