ビター・アンド・スイート
キッチンには母がいて、私の顔を見るので、
「あ、あの。私結婚する事に…」とアタフタと言うと、
「聞いてました。おめでとう。」と笑われてしまう。
「ビール?」と聞かれたので、コクコクうなずくと、
後ろからリョウがやって来て、
「おかあさん、ハヅキさんと結婚します。必ず、大切にします。」とにっこり笑って、
「車だから、ノンアルで。」と付け足した。
「わかりました。よろしくお願いします。」とリョウに笑いかけ、
「ハヅキ、ノンアルコールのビール持ってきて。」
と母は普通のビールとコップを持ってリビングに行ってしまう。

ふたりになったキッチンでリョウは私をもう一度抱きしめる。
「これでハヅキは俺のモノだよ。愛してる。」
と深く唇を重ねてくる。私も、
「リョウも私のモノです。」
と息継ぎをしてもう一度唇を重ねあう。

「まだあー?お鍋が待ってますよー。」
とヤヨイの声がする。
私達はゆっくり唇を離し、微笑みあってから、
ノンアルコールビールを手に持ってリビングに入った。


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