キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉



目を回していると、安堂くんの呆れた視線が向けられた。

安堂くんの声に反応して、慌ててシャーペンを握る。


「…前から言おうと思ってたけど、派手なシャーペンだよね」

「……これ使ってると彼氏出来るんだよっ。使い始めて、もう半年経つけど」

「…もしかして、その手首のやつも?」

「そ、そうそう!昨日買ったの!おじさんが安くしてくれるって。…これつけてると2週間で彼氏出来るんだって」


こういう話をしていれば、緊張しないで済む。


「だってほら!2週間後といえばバレンタインだしっ」

「…あげるような奴いないんじゃないの?」


だったら付けてても意味ないんじゃない?と安堂くんは呆れて笑う。


「知らないの!? 今は逆チョコとかもあるんだよ!男子から告ってくることもあるんだかんね!?」

「へー。告ってくれそうな人いるんだ?」

「う゛」

「そんな話してないでさっさと勉強する」


安堂くんはしれっとした顔で、参考書を広げた。


「話、振ってきたのはそっちでしょ~~~!!!」


あたしは椅子から立ち上がり、抗議した。

安堂くんは右肘を机に乗せ、足を組んだ体勢であたしを見上げた。


「だって小林がめちゃくちゃ緊張してたから」


――――――ピシッ!

知枝里の緊張レベルが再び上がった。



< 102 / 352 >

この作品をシェア

pagetop