キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
目を回していると、安堂くんの呆れた視線が向けられた。
安堂くんの声に反応して、慌ててシャーペンを握る。
「…前から言おうと思ってたけど、派手なシャーペンだよね」
「……これ使ってると彼氏出来るんだよっ。使い始めて、もう半年経つけど」
「…もしかして、その手首のやつも?」
「そ、そうそう!昨日買ったの!おじさんが安くしてくれるって。…これつけてると2週間で彼氏出来るんだって」
こういう話をしていれば、緊張しないで済む。
「だってほら!2週間後といえばバレンタインだしっ」
「…あげるような奴いないんじゃないの?」
だったら付けてても意味ないんじゃない?と安堂くんは呆れて笑う。
「知らないの!? 今は逆チョコとかもあるんだよ!男子から告ってくることもあるんだかんね!?」
「へー。告ってくれそうな人いるんだ?」
「う゛」
「そんな話してないでさっさと勉強する」
安堂くんはしれっとした顔で、参考書を広げた。
「話、振ってきたのはそっちでしょ~~~!!!」
あたしは椅子から立ち上がり、抗議した。
安堂くんは右肘を机に乗せ、足を組んだ体勢であたしを見上げた。
「だって小林がめちゃくちゃ緊張してたから」
――――――ピシッ!
知枝里の緊張レベルが再び上がった。