キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
でもきっと、あたしから貰っても困るだろうから。
他の女の子たちから貰うのと同じくらい困らせちゃうと思ったから。
きっと安堂くんは“その人”から貰ったチョコしか嬉しくない人だと思ったから。
だから――…。
「先生に渡して」
真っ直ぐに安堂くんを見上げて頷いた。
ぐちゃぐちゃになった顔を、頑張って強張らせて、凛とした表情で言った。
安堂くんはあたしの返事を聞くと、伏せた目で微かに頷いた。
「分かった」
そう言うと、こちらを振り向きもせず、家の中に入っていった。
扉が閉まった瞬間に、辺りはこんなに暗くなっていたのだと、あたしはようやく気付かされた。