キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
10.手のひらと涙。
「知枝里ぃぃぃ!!! マジでありがと!ホントにありがと!」
次の日。
学校に行くと、昨日のメールでも大興奮だったナッチが、目に涙を浮かべて喜んでいた。
いつもの巻き髪にプラスして、頭の右側に可愛い髪飾りをつけて。
その形は桜の花びら。
「あ、それ可愛いー、ナッチに似合ってるー」
にこりと笑って、ナッチに伝えた。
ナッチがキラキラ、輝いて見える。
好きな人って、ただ心の中にいるだけで、たくさんのパワーを与えてくれるんだ。
その距離が縮まったら、もっと凄い。
キラキラキラキラ輝かしくて、真っ直ぐには見つめられないくらい。
「それでね、あたしね、お弁当、作ってきたんだけど…っ。やっぱりちょっと重いかな?」
安堂くんには、脅さなくても、お弁当を作ってくれる人はたくさんいる。
きっとこれで、ハッピーエンド。
ナッチは数年越しの恋が実って、
安堂くんは心の傷が癒えて。
これでよかったはずなのに、あれっ?
…なんで?
なんでこんなに泣きそうなんだろう。