キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
12.桜、咲けっ!
毎日が楽しみな、春休み。
3月24日が終了式だったから、ひーふーみーよー…。
春休みが始まって、もう一週間が経っていた。
明日から、4月が始まる。
「はぁ~ん…、これが安堂くんのボタンなのね…」
うちに遊びに来ているナッチは1時間に1回の礼拝だと言って、安堂くんのボタンを眺めていた。
やっぱりこの人、見ていて飽きない。
「それにしても!知枝里っ」
礼拝が終わったらしいナッチが顔を上げた。
「ん?なに?」
ポッキーを咥えて、おしゃれスナップ写真を見ながら、あたしも返事をする。
するとこちらを向けと言わんばかりに雑誌を取り上げられた。
「あっ…」
「あ、じゃないわよっ!あんたまだ告ってないんでしょ!? もう、1週間だよ!? 1週間も毎日のように遊んでるくせに…、遊んでるくせに……何で進展してないのよーーーーーーーっ!!!!」
ナッチの唾が、顔面に飛んだ。
あの日以来、毎日のように安堂くんと会っている。
約束通りボタンを付けに行ったり、一緒にDVDを見たり、桜の観察に行ったり、春休みの宿題を一緒にしたり。
でも。
たったの二文字をあたしは言えずにいる。
「なんで、って言われても~…」
心の中では溢れているのに、向き合うと、好きって言えなくなる。
あんなに彼氏が欲しかったのに、今は好きと伝えてフラれることが怖かった。
たとえ好きだと言えなくても、むしろ好きだと言わない方が、今みたいに一緒にいられるんじゃないかと思うと。
「だいじょうぶ!絶対フラれるわけない!」
ナッチはいつもこう励ましてくれる。
「逆に不思議なんだけどさ、何で安堂くんは好きって言って来ないんだろ」
この1週間、同じ会話を繰り返していた。
「これだけ両思い項目に当てはまってるのにさ?もしかして安堂くんって草食系?告られんの待ってんの?」