キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
ちょっとだけ目尻が垂れてることが分かったり、こっそり笑う時は、左の口端が上がってたり、まつげは頬に影を作るほど、長かったり、まっすぐ見つめると、瞳がちょっと茶色かったり……。
知らなかった。
恋してる女の子達って、こんなキラキラした世界を見ていたんだ。
ちょっとした仕草にキュンときて、聞こえる声にドキリとして。
遠くから見てるだけでも嬉しいのに、こうして隣で見つめられたら……
「…………………。」
「ひゃぁあぁぁ…っ!!!」
ぼんやりとそんなことを考えて安堂くんを見つめていたら、安堂くんが頬杖をついてあたしを見ていた。
恥ずかしさに、思わず飛びのく。
「な、なんでこんな…っ」
至近距離…っ。
カーッと赤くなる顔を隠すように俯いた。
「小林、今日どうしたの?」
頬杖をついて、安堂くんがあたしを見つめている。
その目を見つめ返せずに、視線を落としてパタパタと手を振った。
「ど、どぅもしてないよ」
これ以上見ないで。
恥ずかしくて、死んじゃう…っ。
「どーかしてるよ。顔、真っ赤だし」
安堂くんが、唇を指差した。
「唇、てかてか」
その言葉に、終了式の日のあの言葉を思い出す。
『ピーチの匂いも嗅がせてね』
って。
安堂くんは口端を上げて笑った。
もしかしたら、もしかしたら、今から―――…っ。