キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
14.ウワサとピアス。
その週末、ずっとこの心のもやもやを考えたけど、答えは出てこなかった。
次の週、ナッチに誕生日プレゼントについて打診した。
「…そうねぇ~」
恋愛の先輩も、小さくため息を零して歯切れが悪い。
「確かにずっとあのピアスはしてたよねぇ。外し忘れ、ねぇ…」
「でもでも!ありえそうじゃない!? 安堂くんって妙に無頓着なとこ、あるしっ」
悪い方向には考えたくない。
考えてしまったら、もうそのことしか頭の中になくなってしまいそうで怖い。
「そうねぇ~…」
それでもナッチは、「そうだね」とは言ってくれなかった。
「でも安堂くんは…」
「それは絶対女、だね」
「!」
ナッチの言葉を遮って、またまた真上から声が落ちてきた。
「さ、桜田くんっ!!」
「なんだよ、小林~!土日元気がねーなぁって思ってたら、カレシのことで悩んでたのかよー!俺に相談してくれたらよかったのにー!」
軽いノリのその人は、豪快に笑った。
「やっぱりそれって昔の女からもらったものだと思わねぇ?」
桜田くんは椅子に座り、斜めに傾けて、あたし達を見た。
それを聞いてナッチは顔を歪めた。
「あたしもそれは思ったけど、でも!あん…、知枝里の彼氏は彼女がいたなんて話聞いたことないのよっ!」
「――、」
ナッチの言葉に、ズキッとする。
ナッチも知らない事実を、ナッチにも言えない事実を、あたしは知っている。
「ホントかぁ~?それ。誰にも知られちゃイケナイ、禁断の恋とかしてたんじゃないの~?」
桜田くんの言葉がズキズキと心臓をえぐる。
「そこはちゃんと聞いてた方がいーと思うよ?チェリーちゃん」
「!」
桜田くんがニカッと笑った。
ちぇ、チェリーちゃん…!?
「絶対そんなことないと思うけど、ちゃんと聞いておいでよ!」