キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
「ちぇ~!なぁんだ、つまんねーのー!」
バイトの時間、桜田くんにしつこく聞かれて、あたしは渋々教える羽目になった。
聞きだしといて、桜田くんは「つまんない」と言った。
「俺の勘、絶対当たってると思ったのによ~」
「そんなドラマみたいなこと、そうそう起こるわけないんだよっ」
「そうかなぁー。アイツってケッコー裏でいろいろやってそうじゃん?」
「―――え?」
……アイツ?
「え、何?チェリーちゃんのカレシって隣のクラスの美形くん、アンドーじゃないの?」
「えっ!?」
「あ、バレてないと思ってた? チェリーちゃん見てたらすぐ分かったし。アンドー見る時は目がハートだし」
「~~~~っ」
そんなにあたし、分かりやすいんだ。
「ダーリンの誕プレのために健気にバイトだろ?ほーんとチェリーちゃんってかっわいー」
ガシガシと頭を撫でまわされて、あたしは背が縮むかと思った。
「もぉ!髪、ぐしゃぐしゃになるっ!」
「どーせ着ぐるみでぐしゃぐしゃじゃん!気にするなよ~」
桜田くんは豪快に笑って、ウサギの頭を被ろうとした。
「あっ、ちょっと待って!!」
「ん?」
「このことは、絶対に誰にも言わないで!?」
安堂くんと付き合ってるってこと、絶対誰にも言わないで!
ギュッと服を握ると、キョトンとしていた桜田くんがニカリと笑った。
「おー。誰にも言わねー!」
「ぜ、絶対だよ…!?」
「もちろん。俺、約束は守るし」
「……っ」
ほ、ホントかな…!
でも、今は信じるしかない。
どうにか気を取りなおして、踏ん張った。
さて、今日もバイト、がんばるぞ…。